セビーリャってどんなとこ?旅行前に調べてみた

旅行前にその土地のことを調べてみたシリーズ、セビーリャ編です!セビーリャに行く前に見ておくと楽しめる書籍の紹介も。
セビーリャってどんなとこ?
場所
南ヨーロッパに位置する、スペイン・アンダルシア州の州都になります。スペインは西にポルトガル、北にフランスとアンドラ、南はジブラルタル海峡を挟んでモロッコと向かい合っています。セビーリャはグアダルキビール川沿いに広がる内陸都市で、イスラム建築とカトリック文化が融合した歴史的な街並みや、フラメンコ文化で知られる魅力的な都市です。
天気
地中海性気候に属し、夏は非常に暑く乾燥しており、日中の気温が40℃を超える日も珍しくありません。一方、冬は比較的温暖で、最低気温が0℃を下回ることはまれです。春と秋は過ごしやすく、日中の気温は20〜25℃前後で観光にも適したシーズンです。年間を通じて晴天が多く、降水量は主に冬から春にかけて集中します。
歴史的に覚えておきたいキーワード
アッバード朝とイスラム文化の黄金期
711年のウマイヤ朝のイベリア侵攻を契機に、セビーリャはイスラム世界「アンダルス」の重要都市に。11世紀にはアッバード朝が独立王朝を築き、詩人・学者が集う文化の中心となりました。後にはムラービト朝やムワッヒド朝の支配を受けながらも、建築や学問、芸術の分野でイスラム文化が花開いた時代です。
フェルナンド3世とレコンキスタ
1248年、カスティーリャ王フェルナンド3世によってセビーリャはレコンキスタの一環として陥落。その後、モスクはセビーリャ大聖堂へと改築され、ヒラルダの塔がミナレットから鐘楼へと転用されました。イスラムとキリスト教文化が交錯する独自の都市景観がこの時期に形成されました。
通商院と大航海時代
1492年のアメリカ大陸発見後、セビーリャには新世界との貿易を統括するカサ・デ・コントラタシオン(通商院)が設置され、スペイン帝国の富が集中。都市は世界中からの物資と文化が行き交う貿易と芸術の中心地となり、多くの建築や美術作品がこの時代に誕生しました。
バロック文化と衰退
18世紀に貿易の主導権がカディスへ移ると、セビーリャの経済的重要性は低下。さらに疫病や戦争が都市を苦しめましたが、バロック芸術や宗教行事は市民文化として深く根付きます。スペイン独立戦争期には政治的混乱の中で地域アイデンティティが再確認され、文化都市としての再構築が始まります。
万博と国際都市化
20世紀、スペインの民主化と観光業の成長に伴い、セビーリャは再び脚光を浴びる存在に。特に1992年のセビーリャ万博(Expo ’92)では国際都市としての地位を確立。現在ではセマナ・サンタ(聖週間)やフラメンコなどの伝統文化と、現代的インフラが融合した魅力的な都市として世界中の観光客を惹きつけています。
セビーリャの有名観光地
Catedral de Sevilla(セビーリャ大聖堂とヒラルダの塔)
世界最大級のゴシック様式の大聖堂。隣接するヒラルダの塔は、イスラム時代のミナレットを改築したもので、頂上からはセビーリャの街を一望できます。

Real Alcázar de Sevilla(アルカサル)
イスラーム建築とキリスト教美術が融合した豪華な宮殿。美しい中庭や装飾が見どころで、映画やドラマのロケ地としても知られています。

Plaza de España(スペイン広場)
1929年のイベロ・アメリカ博覧会のために建設された半円形の広場。運河沿いのタイル装飾が美しく、フォトスポットとして人気です。

Setas de Sevilla(メトロポール・パラソル)
近未来的なデザインの巨大木造建築。展望台からは市街地を一望でき、地下にはローマ時代の遺跡が保存されています。

Plaza de Toros de la Real Maestranza de Caballería de Sevilla(セビーリャ闘牛場)
18世紀に建設されたスペイン最古級の闘牛場。白と黄の外観が美しく、闘牛博物館も併設され、伝統文化を体感できます。

セビーリャ近郊の観光地
コルドバ
セビーリャからAVE高速鉄道で約45分の距離にあるコルドバは、メスキータと呼ばれる、イスラム時代の大モスクにゴシック大聖堂が増築された複合建築が有名。ユダヤ人街「フデリア」など歴史の層が重なる美しい町並みが魅力。

カディス
セビーリャからRenfe(鉄道)で約1時間半の距離にあるヨーロッパ最古級の港町で、大西洋に面しており、白い街並みと海鮮料理が楽しめる。

セビーリャ旅行前に見たい映画
アラビアのロレンス
1962年に初公開され第35回アカデミー賞7部門を制覇した名作。監督は「大いなる遺産」「ドクトル・ジバコ」のデビッド・リーン、主演は「おしゃれ泥棒」「ラ・マンチャの男」のピーター・オトゥール。アラブ国民からも英雄と称えられるイギリス人考古学者であり軍人のT・E・ロレンスの半生を描いた壮大なスペクタクルの歴史映画。

映画内の重要シーンで、セビーリャの「アルカサル」「スペイン広場」が撮影場所として使われています。セビーリャの街の雰囲気を感じるならこの一本。
カルメン
メリメ原作=ビゼー作曲のオペラ『カルメン』を材に取って、現代のスぺインを舞台に『カルメン』ミュージカル化上演を目ざし稽古に励むフラメンコ舞踊団の内部の人間模様とオペラ『カルメン』を交錯させて描く。製作はエミリアーノ・ピエドラ、監督は「血の婚礼」(81)「アントニエタ」(82)のカルロス・サウラで、これが日本で公開される初めての作品。脚本・振付はサウラと主演者であり世界的なフラメンコ・ダンサーであるアントニオ・ガデス、撮影はテオ・エスカミーリャ、音楽はフラメンコ・ギターの第一人者のパコ・デ・ルシア、編集はぺドロ・デル・レイ、美術はフェリス・ムルシア、衣裳はテレサ・ニエト、助監督はフリアン・マルコスが担当。出演はアントニオ・ガデス、ラウラ・デル・ソル、クリスティーナ・オイヨス、ファン・アントニオ・ヒメネス、セバスティアン・モレノ、ホセ・イエべス、ぺパ・フローレス、ホセ・ルナ・“タウロ”パコ・デ・ルシアなど。

フラメンコの文化の中心地でもあるセビーリャ。街を舞台にした情熱と悲劇の物語です。この映画はアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、セビーリャのフラメンコ文化を世界に広めた一作でもあります。
セビーリャ旅行前に読みたい本
アンダルシア紀行 – カミロ・ホセ・セラ
昔が今に通じる“世界一ぜいたくな”ガイドブック。スペインの生んだノーベル賞作家が、自らを表現する場として選んだ紀行文学の真髄。どこまでもスペイン的な、あまりにもスペイン的な旅をセラと共にする、幻覚を誘う名著。
カルメン – プロスペル・メリメ
スペインを旅行中の考古学者は,ふとしたことから今は獄中にいる山賊ホセを知る.彼は形見の品を母親に渡してくれと頼んだのち,懺悔話を始めた.それは,純情な青年が情熱の女カルメンに翻弄され,闘牛士や彼女の情夫,果ては彼女まで殺してしまった悲しい話だった.歌劇とはまた異なる沈痛な激情に貫ぬかれたメリメの傑作.

破滅的な恋愛を描いた名作。セビーリャ旅行前に読むと、かなり面白いと思います。アザラシは登場人物全員嫌いです。