アテネってどんなとこ?旅行前に調べてみた

旅行前にその土地のことを調べてみたシリーズ、アテネ編です!ギリシャに行く前に見ておくと楽しめる映画、読んでおくと良い書籍の紹介も。
アテネってどんなとこ?
場所
南ヨーロッパに位置する、ギリシャの首都になります。
ギリシャは北にアルバニア、北西に北マケドニア、北東にブルガリア、そして東にトルコと国境を接し、南はエーゲ海に面しています。
アテネはアッティカ地方にあり、古代ギリシャ文明の中心地として知られています。
天気
地中海性気候に属しており、夏は非常に暑く乾燥しています。日中は気温が35度を超えることも珍しくなく、直射日光も強めです。一方で冬は比較的穏やかで、気温が0度を下回ることはあまりありません。年間を通して晴天が多く、旅行には適した気候です。
歴史的に覚えておきたいキーワード
古代ギリシャ文明の中心都市
アテネは紀元前5世紀ごろ、古代ギリシャ文明の中心として栄え、民主政や哲学、建築、芸術の発展に大きく貢献しました。ソクラテスやプラトンといった哲学者が活躍し、「民主主義の発祥地」としても知られています。
ローマ帝国、東ローマ帝国の時代
アテネはその後、ローマ帝国に征服され、ローマ支配下でも学術都市としての地位を保ちました。東ローマ帝国(ビザンツ帝国)時代にはキリスト教の重要拠点にもなり、数多くの教会が建てられ、キリスト教以外の神を祀った神殿は破壊され、その石材はキリスト教の聖堂建設に利用されることもありました。
オスマン帝国支配と独立戦争
15世紀にオスマン帝国に支配され、400年に渡りイスラム勢力の影響下に置かれました。19世紀初頭のギリシャ独立戦争を経て、1834年にはアテネが独立したギリシャ王国の首都となりました。
第二次世界大戦と占領時代
1941年、ギリシャはドイツ・イタリア・ブルガリアによって分割占領され、事実上の傀儡国家として支配されました。アテネはドイツ軍によって制圧され、厳しい占領政策と物資不足から、多くの市民が飢餓や弾圧に苦しみました。
ギリシャ内戦と冷戦の最前線
第二次大戦後、ギリシャでは共産主義勢力と王政派による内戦(1946年〜1949年)が勃発。これは冷戦初期の代理戦争であり、西側諸国とソ連の対立を象徴するものでした。最終的にアメリカの支援を受けた政府側が勝利。その後、ギリシャは1952年にNATOに加盟し、東側陣営への防波堤として冷戦期の西側諸国の一員となり、地政学的に重要な役割を担いました。
軍事独裁政権(1967〜1974年)
1967年、軍部によるクーデターにより「ギリシャ軍事政権」が発足。言論統制や政治弾圧が行われたこの期間、民主主義は事実上停止していました。1974年、キプロス危機をきっかけに政権は崩壊し、民主化が進みました。
近代のギリシャとアテネ
2004年、アテネで108年ぶりに夏季オリンピックが開催され、近代五輪の発祥地であるアテネは都市再生を象徴するインフラ整備が進みました。
一方、2009年以降、国家債務の増大によりギリシャは深刻な経済危機に直面。EUとIMFの支援を受ける代わりに緊縮財政が実施され、国民生活に大きな影響を与え、特に若年層の失業率が高まり、多くの若者が国外に流出しました。
アテネの有名観光地
アテネにある有名な遺跡はいくつかのエリアに分かれており、共通チケットで巡ることができます。
アクロポリス
- パルテノン神殿
アテナ女神を祀ったアクロポリスの象徴的な神殿。 - デュオニューソス劇場
悲劇や喜劇の発祥地とされる、ギリシャ最古の劇場。 - エレクティオン
神話ゆかりの神々を祀る、カリアティード像が印象的な神殿。 - イロド・アティコスの音楽堂
ローマ時代に建てられた大理石造りの野外音楽堂。 - アテナ・ニケ神殿
アクロポリス入口近くにある「勝利のアテナ」を祀る小神殿。 - アスクレピオス神殿
医神アスクレピオスを祀った、癒しの信仰が集まる神殿跡。 - プロピレア門
アクロポリスの正門として建てられた壮麗な列柱建築。

古代アゴラ
- アッタロスの柱廊
アゴラに再建された古代風の回廊建築で、現在は博物館として使われている。 - ヘファイストス神殿
鍛冶の神ヘファイストスを祀る、現存するギリシャ神殿の中で保存状態が最も良いもの。 - アレス神殿
戦の神アレスを祀ったとされる神殿で、後に再建・移築された経緯がある。

オリンペイオン
- ゼウス神殿
全ギリシャ最大級の神殿で、全能神ゼウスを祀る壮大な建築。 - ハドリアヌスの凱旋門
ローマ皇帝ハドリアヌスを称えて建てられた門で、アテネの「旧市街」と「新市街」を分けていた象徴的建造物。 - クロノス・レア神殿
時の神クロノスと母神レアを祀ったとされる神殿で、アテネ南部の聖域に位置する。

ローマン・アゴラ
- ハドリアヌス図書館
ローマ皇帝ハドリアヌスが建設した壮麗な公共図書館で、文化と学問の中心だった場所。 - ケラメイコス
古代アテネの墓地跡で、葬祭や死後の世界観を知ることができる考古遺跡。 - リュケイオン
アリストテレスが学派を開いた場所として知られる、哲学と教育の聖地。

アテネ国立考古学博物館
ギリシャのさまざまな遺跡から集められた貴重な資料が展示されています。所蔵点数が凄まじいため、訪問は長めに時間をとっておくと良いと思います。

パンアテナイ競技場(カリマルマロ・スタジアム)
1896年に第1回近代オリンピックが開催された、全大理石造りの歴史的スタジアムです。

アテネ近郊の観光地
サラミス島
アテネからフェリーでわずか40分ほど、安くて気軽に行ける歴史と自然の小旅行スポット。ローカルフェリーでアクセス可能、日帰りにぴったりの穴場です!

メテオラ
天空の修道院群がそびえる、ギリシャ正教の聖地としても有名な絶景スポット。アテネからは電車または車で約4〜5時間、日帰りも可能です。

アテネ/ギリシャ旅行前に見たい映画
マンマ・ミーア
ミュージカル映画史上、世界No.1のメガヒット!歌がある。踊りがある。幸せがあなたのハートを包み込む。エーゲ海に浮かぶギリシャの美しいリゾート、カロカイリ島。この島で小さなホテルを経営するドナの一人娘、ソフィは3通の特別な招待状を投函した。ドナのたっぷりの愛情を一身に受けながらも、父親を知らずに育ったソフィは「パパと一緒にヴァージン・ロードを歩きたい!」という秘かな夢があった・・・。

ギリシャを感じたければ、アテネではなですが、スコペロス島とスキアトス島で撮影されたこちらの映画がおすすめ!旅行前に気分を高めてくれること間違いなし。
トロイ
トロイとスパルタの確執の歴史に幕が下ろされようとしていた時、トロイの王子パリスはスパルタの王妃ヘレンと恋に落ちた。それが後に史上最大の戦いを引き起こすこととも知らずに・・・。

ホメロスの叙事詩『イリアス』をベースにしているこちらの作品、ギリシャ神話をざっくりつかむにはおすすめの一作。
Z
ギリシャで実際にあった革新政党の政治家暗殺事件をモデルにしたヴァシリ・ヴァシリコスの小説の映画化。製作担当はジャック・ペランとハーメッド・ラチェディの二人。監督は「七人目にかける男」のコスタ・ガブラス、脚本は「戦争は終った」のホルヘ・センプランとコスタ・ガブラスの共作。撮影は「中国女」のラウール・クタール、音楽は「その男ゾルバ」のミキス・テオドラキスがそれぞれ担当。出演は「戦争は終った」のイヴ・モンタン、「悪い奴ほど手が白い」のイレーネ・パパス、「殺しが静かにやってくる」のジャン・ルイ・トランティニャン、「未青年」のジャック・ペラン、ほかにレナート・サルヴァトーリ、ジョルジュ・ジェレ、ジャン・ピエール・ミケル、ベルナール・フレッソン、ジャン・ブイーズ、シャルル・デネール、マルセル・ボズフィなど。七〇年アカデミー最優秀外国映画賞、六九年カンヌ映画祭審査員特別賞等受賞。

ギリシャの政治暗殺事件をベースにしたサスペンス。アテネの政治史や社会背景に興味ある方におすすめ。
アテネ/ギリシャ旅行前に読みたい本
古代ギリシアの民主政 – 橋場弦
およそ二五〇〇年前、古代ギリシアに生まれた民主政。順ぐりに支配し、支配されるという人類史にかつてない政体は、いかにして考え出され、実施されたのか。公共性を、一人ひとりが平等にあずかり、分かちあうことを基本にして古代の民主政を積み重ねた人びとの歴史的経験は、いまを生きる私たちの世界とつながっている。

古代アテネの「民主政(デモクラティア)」は、直接民主制であり、市民(自由な身分の男性)全員が政治に参加する仕組みでした。現代とは異なる政治のかたちですが、アテネの遺跡や博物館をより深く楽しむための知識として、旅行前に知っておくとおすすめです。
古代ギリシャのリアル – 藤村シシン
赤紫の海・極彩色の神殿の 真実の古代ギリシャへ!!
青い海、青い空、白亜の神殿、ロマンチックな神話といった、私たちが日ごろイメージする古代ギリシャとはちょっと違う、「古代ギリシャのリアル」がわかる一冊。
なぜ古代ギリシャ人は血や涙を「緑色」と表現するのか? なぜ古代ギリシャの主神ゼウスはあんなに浮気性なのか? そして「壺絵の落書きにみる同性愛」に至るまで、ネットやツイッターで大人気の著者が詳細かつ面白く解説。

ギリシャ神話に登場する個性豊かな神々を、ひとりひとり丁寧に紹介してくれる一冊です。これを読んでから旅に出るかどうかで、遺跡や石像を見たときに感じるもの、得られる知識の深さが大きく変わってきます。
ギリシャの神々の世界をもっと楽しみたい人におすすめです。